2014年7月16日水曜日

7月15日要望書の提出と記者会見を行いました

要望書は、東京都知事本局総務部秘書事務担当課長 渡邉貴史氏が受け取りました。
住人有志も、直接、現在の心境を伝えました。
記者 会見には、霞ヶ丘アパート住人有志、稲葉剛(住まいの貧困に取り組むネットワーク)、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会)、向井宏一郎(和光大学非常勤講師)、小川てつオ(反五輪の会)、森まゆみ(神宮外苑と国立競技場は未来に手渡す会)が参加しました。
アパートの歴史や経緯について、アンケート結果について、霞ヶ丘アパートを維持する今後の取り組みについて、市民の立場から見た今回の移転の問 題について、スピーカーが発表しました。その後、住人有志の方それぞれが、霞ヶ丘アパートでの暮らしや、移転の話が出て以降の苦悩、そして移転したくない 気持ちを述べました。大勢のメディアが取材に訪れ、関心の高さが伺われました。
以下、要望書です。
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2014年7月15日
舛添要一都知事殿


要望書


2019年に予定されているラグビーワールドカップ、2020年に予定されているオリンピックにむけて、国立競技場を取り壊し、新しい競技場を建設する工事が計画されています。この新競技場建設について、様々な問題が指摘されています。
●議論・説明の欠如●大幅な予算超過●野宿者排除●景観の破壊
などです。

中 でも重大な問題は、工事に伴い競技場に隣接する都営住宅が取り壊され、そこに暮らす住人が退去を強いられることです。この霞ヶ丘アパートという都営住宅に は、現在も150世帯を越える人々が暮らしています。私たち「霞ヶ丘アパートを考える会」は、この都営住宅の取り壊し問題について関心を持つ者の集まりで す。霞ヶ丘アパートに暮らしている方々ともつながりながら、活動をしています。

今年の6月から7月にかけて、茨城大学の稲葉奈々子研究室 によって、霞ヶ丘アパートに暮らす人々の意識調査のアンケートが行われましたが、その結果は衝撃的なものでした。寄せられた回答40のうち、「このまま 霞ヶ丘アパートで暮らしたい」と考える人が30人もおられたのです。また、同アパートに「入居している期間が40年以上」の方が、約半数の20名。自由回 答の欄には、これまで何十年も暮らしてきた住み慣れた土地を、十分な説明もなく出て行くよう告げられたことへの当惑や怒りが記されていました。

ア ンケート調査については、まだ簡略な集計がなされた段階であり、本格的な分析はこれからであると聞いています。しかし、霞ヶ丘アパートにおいて、東京都と 日本スポーツ振興センター(JSC)による、人権と居住権の深刻な侵害が行われているということは明らかではないでしょうか。新国立競技場建設に伴う都営 住宅の立ち退き問題について、事実関係を調査し、この住人の意向を無視した追い出しを早急に止める必要があると私たちは考えています。

国 立競技場の改築問題については、多くの建築家の方から見直しを求める意見が出ており、事態は大きく揺れ動いています。実際、現時点での新競技場の設計案 は、コンペティションで選ばれたザハ氏による当初の案から大きく変更されたものになっています。この競技場の建て替えによって、最も深刻な影響を受けるの が、霞ヶ丘アパートに暮らす人々であることは間違いのない事実なのですから、住人の方達の声を真摯に聞くことが、今最も必要なことではないでしょうか。 「アパートの取り壊しありき」のようなこれまでの都の説明は、まったく不当なものであると言わざるを得ません。

6月20日の記者会見で、舛添都知事は、霞ヶ丘アパートの問題について、「これはちょっと報告を受けて、そしてまた、できれば現場を見て、そういう判断をしたい。」と答えています。私たちは、ぜひ都知事に、多くの住人の方々の話を聞いていただきたいと考えています。

【①新国立競技場建設と、霞ヶ丘アパートの立ち退きの経緯】
・2012年7月中旬: 霞ヶ丘アパートの土地を、新国立競技場の「関連敷地」として使うことが決められる。都営住宅の住人の意見を聞く場は一切もたれず。
・2012年7月16日頃: 霞ヶ丘アパートの都営住宅全戸に「国立競技場の建替えに伴う移転について」という移転を強要する内容のお知らせが都により配布される。
・2012年7月20日:
新国立競技場のデザインコンペの募集要項が発表される。霞ヶ丘アパートが建っている土地が「関連敷地」として使用されることになっている内容。
・2012年8月26日: 東京都による説明会。内容は国策ですでに決まったこととする、一方的な説明。
・2012年11月27日: JSCによる説明会。だが、その内容は一方的な説明。
近隣住民から「霞ヶ丘町を日本地図から消そうとしている。人権の問題である。」「この早急な進め方は何か。住民をなんだと思っているのか。」などの切実な声が議事録(JSCによる編集)に記録されている。
・2013年5月17日:東京都都市計画審議会において「神宮外苑地区計画」上のA3地区として霞ヶ丘アパート敷地を公園・広場としての整備を行うことを決める。これは、JSCが2012年12月に提案したもの。
・2013年11月より「早期移転」が行われ始める。今後、複数の都営アパートへの分散移転を都は計画。
【②霞ヶ丘アパートに暮らす人達の生活】
・戦後の焼け跡に作られた霞ヶ丘アパートの前身である都営住宅の頃から、1964年東京オリンピック時の建て替えに渡り、50年以上も暮らしてきた人達が多くいる。
・高齢の人も多い。
・住人の間のつながり、付き合いが人々の生活を補強し支えている。

霞ヶ丘アパートを考える会